自ら見たことのない世界に飛び込んでみると、はじめて気づくことや感じることがたくさんあります。また、実際に体験をしてみないと分からないことが世界にはたくさんあることに気付かされます。サーフィンを通じて様々な場所へと旅に出て、自然の偉大さを体感し、文化の違いにカルチャーショックを受け、色んな人たちと価値観の共有をする。今回の旅もその1つです。“Breath In The Moment”プロジェクトとして1ヶ月にわたり5人のサーファーたちと共に旅をしています。モロッコとヨーロッパ(フランス、バスク、スペイン)の濃い旅を終えて、僕たちはこれからアイスランドに向かうところです。
モロッコという土地には初めて訪れましたが、独特な空気感のある場所でした。空港から壮大な土地を走り抜けていると急に街が現れました。街の規模はコンパクトで、その中を覗き込んでみると蜘蛛の巣のように入り組み、迷路のような街並でした。古くから残されてきたであろう建物に囲まれながら散策したマラケシュの街は今までにない新しい感覚でした。また、日本人の僕たちにとっては少し押しの強めな手法で商売する人たちにもカルチャーショックを受けました。街を抜けるとまた大自然が広がり、僕たちは海へと向いました。
タガズートという海沿いの街に1週間ほど滞在し、そこではたくさんの濃い出会いがありました。サーフポイントにいけばローカルの人たちと仲良くなり、一緒にサーフィンをしたりバーベキューに招待してくれたり、最高なおもてなしをしてくれました。国、人種、言語、宗教などの文化の壁を飛び越えて『幸せだ』とお互いに思える瞬間があるだけで、それは平和なことなんだと体感できた時間でした。色んな土地でサーフィンをするたびに、言葉は通じないのに海という場所とサーフィンという時間をシェアをするだけで現地の人たちと自然に笑顔が生まれています。時には言い合いになってしまうこともありますが、ちゃんと話せば分かり合えます。それはモロッコに限らず、世界中で感じていることです。僕にとってサーフィンとは、文化の壁を飛び越えて新しい世界へと導いてくれる大きなツールなのです。このことを改めて強く感じれたのがモロッコの旅だったのかもしれません。
サーフィンを通じてこういった経験をしていると、陸でも現地の人たちと何か「共通の楽しみ」を見つけて交流したくなってしまいます。モロッコでは音楽や、スケボーや、サッカーなどで地元の人たちと交流をすることができ、最高な時間を過ごすことができました。
モロッコの旅を終えると僕たちが向かったのはヨーロッパです。今回の旅では、いま世界中で社会問題となっている海ごみやその他の自然環境に対して他の国ではどのような対策をしているのかを知りたいと思っていました。そこで僕が事務局長とアンバサダーを務める”国際環境NGO Surfrider Foundation”を通じて現地の環境と取り組みを見ることができました。モロッコではSurfrider Foundation Moroccoのビーチクリーンに参加をして現地の現状を教えてもらい、ヨーロッパではフランスのビアリッツにあるSurfrider FoundationEuropeのオフィスを訪問することができました。両団体の共通点としてあったのが『教育』です。モロッコでは定期的に小学校に訪れてプラごみが地球にどのような影響を与えているのか授業をしているそうです。また、ヨーロッパでは週1回で小学校~大学までの生徒たちが授業としてオフィス内にあるSurfrider Campusに訪れては授業を行っているそうです。Surfrider Campusでは『海のことについて知る』教材がたくさんあり、自然環境と教育環境がいかに隣り合わせなものかを目の当たりにすることができました。
大学時代の研究から、『教育環境が変わらない限り、自然環境は変わらない』と考えてきました。そのことを世界のSurfrider Foundationを訪問して体感することができました。大学を卒業後にSurfrider Foundation Japanで『海の寺子屋』というコミュニティを作りましたが、Surfrider Campusを参考に海を知る教育環境を作っていきたいと強く感じることができました。
これから僕たちは未知なる世界『アイスランド』へと旅立ちます。サーフィンを通じてどんな世界が見ることができるか楽しみでワクワクしています!
石川 拳大 / Kenta Ishikawa